大面積透明導電膜の形成 |
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SPD法を実用的大面積基板への製膜に適用させるには、既存装置の単なる拡大では不可能であり、気流や熱分布といった、これまで実験室レベルで無視することのできた因子の制御が求められる。本研究グループでは、原料噴霧ノズルの三次元可動及び基板内温度分布の制御により30cm×30cm基板対応のSPD製膜装置を開発した。その結果、同法により透過率・抵抗率とも±10%誤差範囲内の酸化スズ透明導電膜の作製に成功した。現在は、この装置を利用したエレクトロクロミックミラーや太陽電池の開発に取り組んでいる。 |
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透明導電膜の低温形成 |
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これまで当研究グループでは、ジブチルスズジアセテートを原料に、SPD法による透明導電膜の作製に携わり、可視光平均透過>80%、電気抵抗率5×10-4Ω・cmを示す酸化スズ透明導電膜を報告している。しかし、製膜時の基板温度には500℃を要するため、利用することのできる基板に制約が多かった。 本研究では、原料に四塩化スズと過酸化水素を利用することにより、SPD法による酸化スズ透明導電膜の低温形成を試みた。その結果、基板温度300℃において、可視光平均透過率>80%を維持して、電気抵抗率を6×10-4Ω・cmまで下げることに成功した。これにより、安価なソーダ石灰ガラスやプラスチック基板上への透明導電膜作製の可能性が開かれた。 |
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